未払い残業代の計算方法について | 労務問題に強い大阪の弁護士事務所 |咲くやこの花法律事務所

未払い残業代の計算方法について

退職した従業員が会社に対して未払い残業代の請求をするトラブルが増えています。
いざ従業員から未払残業代を請求されたら、困惑されることが多いでしょう。しかし、請求された未払残業代が本当に正しい金額なのでしょうか。ここで
皆様に未払残業代の計算方法をご紹介します。
未払残業代を計算するためには、まずその従業員の「1時間あたりの賃金単価」を計算する必要があります。
この「1時間あたりの賃金単価」は以下の計算式で計算することができます。
1時間あたりの賃金単価=基本給+諸手当(一定の手当を除く)/1ヵ月当たりの平均所定労働時間
「一定の手当を除く」と書いてあるとおり、家族手当、通勤手当、住宅手当などは除外されます。

そして、この「1時間あたりの賃金単価」をもとに未払い残業代を計算していくことになります。
未払い残業代には、未払いとなっている時間について、1時間あたりの賃金単価を支払えばいい場合と、1時間あたりの賃金単価に割増賃金を加えて支払わなければならない場合の2とおりがあります。
どの会社も就業規則や雇用契約書で始業時刻と就業時刻が決められていると思います。いわゆる「定時」です。この始業時刻と就業時刻との間の時間数から休憩時間を差し引いた時間が、所定労働時間です。
所定労働時間が1日8時間に満たない場合、たとえば、所定労働時間が1日7時間である場合は、1日8時間になるまでの残業については、割増賃金を支払う必要はありません。つまり、1時間当たりの賃金単価を支払えばいいということになります。
これに対して、1日8時間を超えた時間については、1時間当たりの賃金単価のほかに、賃金単価の25パーセントの割増賃金を支払わなければいけません。この割増賃金は、休日労働の場合は賃金単価の35パーセントになります。また時間外労働が深夜労働に及んだ場合は、割増賃金は賃金単価の50パーセントになります。
ここで具体的な例をあげて考えてみます。
たとえば、所定労働時間つまり定時が平日の午前9時から午後6時まで(休憩1時間)の会社があったとします(土日祝日は休み)。
そしてこの従業員の基本給を時給換算すると、1時間当たり1250円だったとします。
この従業員が、平日に午後6時から午後11時まで仕事をした場合に会社が支払わなければならない残業代はいくらでしょうか。
まず、午後6時から午後10時までの4時間は、1時間当たり1250円に加えて25パーセントの割増賃金を支払わなければなりません。
1,250円×1.25×4=6250円
さらに、午後10時から午後11時までの1時間は深夜労働となり、50パーセント割増になるので、
1,250円×1.50=1875円
と求められます。
よって、この日の残業代は
6250円+1875円=8125円
となります。
このように、たった1日であっても残業代は結構大きな金額になります。そこで次にお話しするように残業代の増加に対して十分な対策を立てる必要があります。