従業員・社員をトラブルなく解雇するための流れ | 労務問題に強い大阪の弁護士事務所 |咲くやこの花法律事務所

従業員・社員をトラブルなく解雇するための流れ

従業員・社員をトラブルなく解雇するためにはどうすればよいのでしょうか。
これまで書いてきたとおり、まずはいきなり解雇するのではなく、退職を勧めて従業員に退職願を書いてもらって退職してもらうことをめざさなければならなりません。 
従業員に退職を勧める場合、「一度決めたら素早く退職の手続きを進め、対象の従業員を会社に長居させないこと」が大切です。
問題の社員に対し一度退職の話を切り出すと、やけくそになり、その社員が同僚に対し、「社長は血も涙もないやつだ」とか「いよいよこの会社も危ない。次はおまえらが解雇されるぞ」とか言いふらしかねません。このようなことをされると、問題のない社員の団結まで壊れてしまいかねません。
こういう事態をさけるためには、たとえば、金曜日の午後に退職の話をするのもお勧めです。 つまり、金曜日の午後に問題の従業員を呼んで退職の話を切り出すのです。 このときに大事なことは、「来週月曜日までに退職するかどうかについて返事をください」と明確に伝えておくことです。そうすると従業員は週末に家族と話しをすることができます。また、何よりも対象の従業員が同僚らに会社の悪口を言いふらしたりすることを最小限に食い止めることができます。そして、月曜日に退職願に押印してくれればそれでよし、押印してくれなければその場で解雇通知書を渡して解雇してしまうことをお勧めします。

では、どうしても解雇しなければならない場合、解雇予告についてはどのように考えればいいでしょうか。
これについては、解雇の30日前に解雇することを予告すれば、解雇予告手当を支払う必要はないわけですが、実際的な会社運営の観点から言えば、解雇を予告した後30日間勤務させるよりも、解雇予告手当を支払ってもすぐに解雇した方がいいことが多々あります。
この点については、経営者の方の中には、「ただでさえ能力がなく経営に貢献できなかった社員に対して解雇予告手当など支払いたくない。」とお考えになる方も多いと思います。 
しかし、解雇を30日前に予告する方法をとると、問題の社員がしばらく会社にとどまることになり、その間に同僚に経営陣の悪口をいいふらしたり、きちんとした仕事をしなかったりして、職場の雰囲気が悪くするケースが多くみられます。
そのため、弊事務所では、解雇予告手当を支払ってもすぐに問題の社員に職場を去ってもらうことをお勧めしています。
誰かを解雇するときは、会社と従業員の信頼がゆらぎやすいときです。誰かを解雇するのを見て「私は大丈夫かな」と不安に思う従業員もいるかもしれません。また、解雇される従業員と親しかった従業員は経営陣に不満をもつかもしれません。
いったん「解雇する」と決めたら、できる限り早くその従業員を職場から排除し、残る従業員への影響を最小限にとどめることが大切です。
そのためには、解雇したら必要最低限の引き継ぎをすませて、解雇予告手当を支払い、できるだけ早く問題の社員には職場を去ってもらうことをお勧めします。