解雇予告手当の手続き方法 | 労務問題に強い大阪の弁護士事務所 |咲くやこの花法律事務所

解雇予告手当の手続き方法

従業員を解雇する場合、法律上、会社は少なくとも30日前にその従業員に対して予告しなければなりません。もし予告を行わずに解雇する場合は30日分の平均賃金を支払わなければいけません。この予告を行わずに解雇する場合の30日分の平均賃金のことを解雇予告手当といいます。
では30日分の平均賃金とは具体的にはどうやって計算するのでしょうか。
平均賃金は、解雇を告げた日の直前の給料締め日から3ヵ月間の賃料が基準になります。
たとえば、月給制の従業員の平均賃金は次の計算式で計算します。
月給制の平均賃金=3ヵ月間に支払われた賃金の総額/3ヵ月間の総日数
ここでいう「3ヵ月間に支払われた賃金の総額」には基本給だけでなく、時間外手当、通勤手当、家族手当、住宅手当も含まれます(賞与は含まれません)。
さて、ここで具体例をあげてみましょう。
賃金締日が毎月20日の会社で、12月21日解雇をした従業員に支払わなければならない解雇予告手当の金額を計算してみます。
まず、3ヵ月間に支払われた賃金の総額を計算する必要があります。ここでは仮にこれを基本給、時間外手当、通勤手当、家族手当、住宅手当を含めて3ヵ月で合計75万円だったとします。
次に、3ヵ月間の総日数を計算する必要があります。
今回の例の場合、11月21日から12月20日までは30日、10月21日から11月20日までは31日、9月21日から10月20日までの30日となり合計91日となります。
そうするとさきほどの計算式にあてはめると、
750,000円/91日=8,241円となります。
この例では、8,241円(平均賃金)×30日分=247,230円の解雇予告手当を支払わなければいけません。
ただし、たとえば、15日前に解雇予告をすれば15日分の平均賃金を支払えばすむというように、事前に解雇予告をすることによって、支払う日数を30日よりも減らすことができます。

最後に、法律上、解雇予告手当の支払いの必要がない場合がありますのでこれについて触れておきます。
まず、日雇労働者、2ヵ月以内の期間契約労働者、季節的業務に従事する4ヵ月以内の期間契約労働者、試用期間中の労働者には解雇予告手当を支払う必要はありません。
ただし、試用期間中の労働者でも引き続き14日以上働いた後解雇する場合は解雇予告手当の支払いが必要になります。ですので、試用期間中の労働者を解雇する場合は、雇い入れから14日というのはひとつの目安になるでしょう。
そのほか、労働者の金品の横領など重大な問題行為によって、解雇する場合などは労働基準監督署の認定を受けて解雇予告手当を支払わないことができる制度があります(「除外認定」といいます)。
ここまで解雇予告手当の手続きについてお話しましたが、これは従業員を解雇するための最低限の手続きとなります。従業員を安易に解雇することはトラブルのもととなり、最終手段と考えて下さい。トラブルになる前にぜひ弁護士に相談するなど事前の対策をたてて下さい。