不当解雇に対する慰謝料の相場とは
もし解雇が不当であると言われた場合に、会社が従業員に払わなければならない金額はどのくらいでしょうか?
たとえば、労働審判の中で、会社の解雇が不当解雇だとして、従業員に対し、解決のための金銭の支払いを求められることがよくあります。
この金銭の中にはいろいろな要素があり、従業員が解雇によって受け取ることができなかった賃金の請求、解雇による慰謝料の請求などがありますが、ここではわかりやすく、これらの金銭をひとくくりにして「慰謝料」と表現しておきます。
労働審判で不当解雇と訴えられた場合に、いくらの金額で解決できるかというのは、解雇がやむを得ない事情でしたものであることを証拠によってどのくらい説明できたかにかかっています。
たとえば、従業員の能力不足で解雇したというような場合に、従業員が能力不足のためにどのような問題を起こしてきたかを詳しく資料を交えて裁判所に説明する必要があります。そして、さらに、そのような従業員に対して会社が放置していたのではなく、一生懸命指導していたということについても、詳しく資料を交えて裁判所に説明する必要があります。これらの点について十分な対応ができなければ、従業員の給与の1年分くらいの支払を覚悟しなければならないケースもあるでしょう。
逆に従業員の能力が不足していたことや会社がその従業員に対して指導してきたにもかわらず改善がなかったことについて、十分な資料を整えて裁判所にわかりやすく説明できたならば、従業員の給与の1~2ヶ月分程度で解決することも可能です。
また、訴訟でも十分な資料に基づいて解雇の正当性を説明できれば、勝訴して、従業員に対して金銭を支払わないで解決することも可能です。
結局は、その従業員の問題点をどのくらい詳しく具体的に説明できるかという点と、どのくらい資料がそろっているかということで、支払わなければいけないかどうか、支払う場合の金額が決まってきます。
大切なことは従業員を解雇するときには、解雇する前から弁護士に相談し、十分な資料を整えた上で解雇することです。
解雇して、不当解雇と言われてしまってから、資料を整えようとしても、それはできないことですので、解雇する前に弁護士に相談することが大切です。