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何も対策がないまま労基署が調査に来てしまったら

労働基準監督署の監督官が、会社に来て、労働法令違反の事実、例えば、残業代不払いの事実がないかどうか調査するために、立ち入り調査を行う場合があります。

これを「臨検」と言います。

臨検は、事前の通知に基づいて行われることもありますが、抜き打ちで行われることも多いです。つまり、何の前触れもなく、突然労働基準監督署の監督官が会社にやってきて、立ち入り調査を始める場合があるということです。

この調査は、法律上の権限に基づいて行われるため、会社はこの調査を拒むことはできません。

最近では、残業代が払われていない、ということで、従業員が申告を行う場合がとても多いので、サービス残業の実態を調べるために、夜間に立ち入り調査が行われることも多いです。

それでは、事前の通知もなしに、突然、労働基準監督署の監督官が会社にやってきて、立ち入り調査を開始してしまった場合、どうすればよいのでしょうか?

一般的な傾向として、「臨検」が事前の通知なしに行われる場合、それは労働基準監督署長の計画に基づく「定期監督」ではなく、労働者の申告に基づく、「申告監督」である場合が多いです。

つまり、会社の従業員が、労働基準監督署に、会社の労働法令違反を「たれ込み」をした結果として立ち入り調査がなされる場合に、これが抜き打ちで行われる場合が多いということです。

労働基準監督署の立ち入り調査が抜き打ちで行われた場合には、労働基準監督署に申告を行った従業員がいる、ということを想定するべきです。
もちろん、労働基準監督署の監督官は、申告を行った従業員が誰か、ということは、基本的には教えてくれません。

教えれば、その従業員が次の日から会社で不利益な扱いを受けることがありうるからです。

逆に言えば、これ以上、会社で不利益な扱いを受けるおそれの全くない、退職者による申告であった場合には、申告した「元」従業員の名前を教えてくれることもあります。

従業員としても、現在働いている会社のことを労働基準監督署に申告するというのは、かなり勇気のいることです。それに対して、既に退職してしまった会社のことであれば、今までの不満をぶつけてやろうと、どんどん申告をしてくる場合もあります。

そして、退職者による申告の理由のほとんどが、「賃金不払い」、要は「残業代不払い」であるという実態があります。

ですので、労働基準監督署から監督官が抜き打ちで立ち入り調査に来た場合には、それが、誰かの申告に基づくものなのか、それが誰なのか、一応、聞いてみるべきでしょう。

立ち入り調査が、退職した元従業員の申告に基づくもので、申告を行った元従業員の理由もわかり、その理由が「残業代不払い」にあるとわかったならば、あとは話は簡単です。

その退職した元従業員に連絡を取り、請求している残業代を支払ってしまえばよいのです。

会社にとっては痛い出費になりますが、退職した元従業員の残業代を支払ってそれで済むのであれば、そうすべきです。そうすることで、話が裁判所に持ち込まれ、多くのお金や時間を費やすことを避けることができます。

残業代を請求してきた従業員との交渉でお困りの点があれば、ぜひ咲くやこの花法律事務所にご相談ください。