時間外労働を就業規則でどのように規定するか | 労務問題に強い大阪の弁護士事務所 |咲くやこの花法律事務所

時間外労働を就業規則でどのように規定するか

最近増えている未払い残業代の請求問題も就業規則で十分な対応をしておくことが必要です。
たとえば、営業社員に対して、残業代は支払っていないが、営業手当を支払っているというケースがよくあります。
会社としては、この「営業手当」は残業代を支払わない代わりのようなものとして意識されていることがほとんどだと思います。
しかし、退職した従業員が裁判所で会社に対し未払い残業代を請求してきた場合に、会社の側から「営業手当として払っていたから未払いの残業代はない」と主張しても認められることはありません。
なぜかというと、裁判所では、その手当が残業代の支払いにあたるものだということが明確になっていない限り、手当を残業代の支払いとしては認めないからです。
では、どうすればいいかというと、就業規則で、「営業手当というのは残業代部分として毎月支払うものだ」ということを定める必要があります。

そのほか、専門型裁量労働制や事業外労働のみなし労働時間制も残業代のリスクを減らすのに有効な制度です。これらの制度を採用する場合も、就業規則に十分な記載をしておく必要があります。専門型裁量労働制は使える職種が限られていますが、使える場合は、大変有効な制度ですので是非検討してみてください。

また、残業について就業規則で許可制をとることで、ダラダラ残業を防止するという方法もあります。許可制を採用していない会社でも、タイムカードの不正打刻、つまり仕事が終わっているのに会社に残って時間がたってからタイムカードを押すようなやりかたが懲戒の対象になることを就業規則に記載しておく必要はあるでしょう。

このように就業規則において未払い残業代問題についてきちんとした対策ができているかということが、トラブル時にその問題をいかに有利に解決できるかということにつながり、ひいては会社の経営にも大きな影響を及ぼすことになります。

 

日本もアメリカ的な訴訟社会に突入しつつあります。このことは決して望ましいことではありませんが、現時点ではそれを踏まえて対策をするしかありません。これまでは従業員からの裁判も多くありませんでしたので、十分な対策をしなくても生き残ってこれたかもしれません。しかし、今後は十分な対策ができるかどうかが企業の運命を分ける時代になってきています。
ぜひ十分な対策を講じてください。